消化器外科、乳腺・内分泌外科

上部消化管(食道、胃)

上部消化管診療グループ

 上部消化管診療グループは、食道から胃、十二指腸における良性疾患や悪性疾患の治療を行っています。また、低侵襲(からだへの負担が軽い)手術である胸腔鏡や腹腔鏡などの鏡視下手術を積極的に導入しており、術後の疼痛(痛み)の軽減や入院期間の短縮に寄与し、手術を受けられる方への、より負担の小さい手術を心がけております。治療に関しては、手術はもちろん、術前や術後の抗癌剤治療や放射線治療を組み合わせ、より根治度の高い集学的治療を目標に専門医が責任を持って治療を行っております。術後も再発の早期発見や二次がんに対するきめの細かい術後管理を行っております。

食道

食道の手術は消化器手術の中でも患者さんへの負担が大きく、手術としても難易度が高いものです。食道は胸の中にあり、食道を治療するだけであれば、胸の手術のみで治療可能ですが、食道は食べ物が通る場所であり、新たな食物の通過経路を作る(再建)必要があります。このために胃を使い再建するためにお腹の手術も必要になります。つまり、食道の手術には胸部の操作と腹部の操作が必要になり、2つの傷ができることになります。このため、食道の手術は通常の手術の2倍時間がかかり、患者さんもからだへの負担が2倍かかります。このような負担をより軽減させるためにわれわれは、鏡視下手術を積極的に導入しています。これは、通常のように大きく切って手術を行うのではなく、1cmくらいの傷を数カ所につけて、カメラ越しに手術を行う方法です。このことにより、より患者さんへの侵襲が少ない手術が可能となり、術後の早期離床や食事摂取、退院を実現可能としております。なお、食道がん手術は年間約30例を経験しており、食道外科専門医や食道科認定医を有する専門スタッフによる診療体系を展開しております(図1)。


さらにわれわれは、通常では根治的に切除することができないと判断される食道がんに対してより積極的に抗がん剤や放射線治療を組み合わせる(化学放射線治療)ことにより、切除可能となった食道がん患者に対して時期を逸することなく手術を行い、良好な成績をあげております。例えば食道がんが気管に食い込みかけている(浸潤が疑われる)症例に対して、術前化学放射線治療を行うことにより手術が可能となり、再発なく経過している症例を多数経験しております(図2)。

気管に浸潤が疑われる食道癌、放射線化学療法で切除可能になった

また、食道がんは喫煙や飲酒によるがんの発生が言われており、これは同時に肺がんや咽頭がんになる危険が存在します。当科では、このような患者背景を加味し、2次がんの発生の早期発見や他科との連携を密に行い、外来診療に当たっております。

胃は腹部に存在する臓器であり、摂取した食物の貯蔵や消化を主な役割としています。上部消化管診療グループでは胃がんや胃の壁の中にできる腫瘍(粘膜下腫瘍)などの治療を行っています(図3)。

胃がんの治療は胃がん治療ガイドライン上も手術が第一選択となっております。当科での、胃がん手術件数は年間約60-70例になります。手術前に病気の進み具合を正確に診断することを心がけ、QOL(quality of life)を保った必要かつ十分な手術を実践しております。また、多くの症例で腹腔鏡手術を施行しており、早期胃がんのほとんどを腹腔鏡下幽門側胃切除術や腹腔鏡補助下胃全摘術で行っています(図3)。腹腔鏡手術における術後の在院日数は2016年では平均12日となっております。


 

 また、高度に進行した胃がんに対しては、多臓器合併切除、拡大リンパ節郭清を含めた積極的な拡大手術を行い、さらに術前術後の抗がん剤治療を組み合わせ、治療成績の向上に努めております。 胃粘膜下腫瘍(GISTや平滑筋腫など)は比較的稀な疾患です。胃粘膜下腫瘍においては腫瘍を切除することが治療とされています。通常では胃を部分切除しますが、腫瘍の部位により胃を最小限に切除する目的で消化器内科との合同手術を行っています。具体的には、胃の内側から胃カメラで腫瘍の周囲を切開し(図5a)、腹腔鏡で腫瘍を摘出し、胃の切開した部分を閉じる(図5b)という方法です。当科では現在までに合同手術9例を含み腹腔鏡下胃部分切除を37例行っております。 胃カメラでの切開、腹腔鏡での閉鎖

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