消化器外科、乳腺・内分泌外科

肝臓

肝胆膵グループ

 主に肝臓、胆道、膵臓、十二指腸、脾臓の治療を担当しています。現在6人チームで構成されており、肝胆膵高度技能専門医2名、肝胆膵高度技能指導医1名が在籍し、日本肝胆膵外科学会高度技能医修練施設Aの認定を取得しております。第一内科、放射線科、検査部の先生方と定期的にカンファレンスを開き、一人一人の患者さんにとってベストな治療を追及しています。進行癌に対する術前化学(放射線)療法、門脈塞栓術、術後補助化学療法などにも積極的に取り組み、治療成績の向上に努めています。多施設共同研究、臨床研究にも積極的に取り組んでいます。
肝胆膵

肝臓

 肝臓は右上腹部に位置し,ほぼ肋骨に覆われ,人体の約2%(1200~1500g)の重さがあります.さまざまな機能がありますが,特に炭水化物,たんぱく質,脂肪の代謝の中心的役割を果たしており,自動車のガソリン,パソコンのバッテリーのようなものです.
肝切除術を行う疾患としては,原発性肝癌(肝細胞癌,肝内胆管癌など),転移性肝癌,肝門部胆管癌,肝内結石症などがあります.肝臓は手術などの障害時には旺盛な再生能力がありますが,しばしば,慢性肝炎,肝硬変,閉塞性黄疸等で,肝予備能の低下があり,術後に残る肝臓重量に注意しなければなりません.手術を行う際は,腫瘍の進展だけでなく,肝予備能の評価が非常に重要です.通常の肝予備能の評価に加え.アシアロシンチグラフィーを行い,肝臓の部位ごとの評価を行っています.術前の画像診断から3D画像を作成し,市手術のシミュレーションを行い,より安全に手術が行えるように取り組んでいます.

 腹腔鏡下肝切除は,2012年1月より導入し,肝部分切除,肝外側区域切除を主に施行しておりましたが,2016年4月に,腹腔鏡下高度技能手術とされる肝亜区域切除,肝1区域切除(外側区域切除を除く),肝2区域切除(左肝切除,右肝切除など)が保険収載されたことから,日本肝臓内視鏡外科研究会,NCD(National Clinical Database)と連携し,導入を開始しています.2017年5月までに46例の腹腔鏡下肝切除術を施行しております.すべての患者さんに腹腔鏡下肝切除術を提供できるわけではありませんが,根治性,何よりも安全性を重視し適応を決めております.

図1 3D画像

図1 3D画像

図2 腹腔鏡下肝切除術

図2 腹腔鏡下肝切除術

肝細胞癌

 山梨県は,かつて地方病といわれた日本住血吸虫症の流行地であり,C型肝炎ウイルスによる肝炎・肝硬変の患者さんが多い地域です.C型肝炎ウイルスによる慢性肝炎・肝硬変は肝細胞癌の危険因子です.B型肝炎ウイルスも肝細胞癌の危険因子ですが,最近は,肝炎ウイルス以外による肝細胞癌(NBNCと言われています)が増加しています.当科で肝切除術を受ける患者さんの約3割が,アルコール多飲(エタノール換算 40g/日,5年以上),非アルコール性脂肪性肝炎(糖尿病,高脂血症,肥満などが原因でおこる脂肪肝による肝炎)が原因となっています.

図3 肝細胞癌の肝切除件数推移

図3 肝細胞癌の肝切除件数推移

肝内胆管癌

 原発性肝癌のうち,約5%と比較的稀な疾患です.肝炎ウイルスとの明らかな関連はないとされています.肝切除術が根治するための唯一の治療法とされています.しかしながら,定型的な治療法は定まっておらず,至適な切除範囲,術前化学療法の適応,術後化学療法の必要性は不明です.病気の進行度に応じて,術前化学療法を取り入れ,根治的に切除ができる患者さんが1人でも増えるように努力しております.

転移性肝癌

 多臓器からの転移により形成された肝癌です.大腸癌からの転移が大部分を占めます.肝転移のみの場合,肝臓以外の部位に転移があっても化学療法によりよくコントロールされている場合は,切除の適応になることがあります.化学療法のみ行うよりも,肝内の転移巣が根治切除できた場合,予後が良くなるとされています.
 他の転移として,胃癌,乳癌,膵神経内分泌腫瘍,腎癌などがあります.肝転移の手術適応については,定まっていません.通常は根治的に切除できることが条件になりますが,膵神経内分泌腫瘍のように80%の腫瘍量の減量により,予後が良くなる場合もあります.患者さんごとに検討し,切除により予後が良くなると考えられる場合,手術を行います.

肝門部胆管癌

 肝外胆管にできる癌の中で,最も肝臓に近い胆管に発生する癌です.肝外胆管切除に加えて,左肝切除,右肝切除以上の肝切除が必要になり,大きな侵襲がかかる手術を行います.肝臓の切除範囲が50%を超える場合,門脈塞栓術といわれる手技を行い,残る肝臓を肥大させてから手術を行います.

肝内結石症

 近年減少傾向にあり,また,内視鏡的治療の進歩により,肝切除を受ける患者さんは減少傾向にあります.胆管癌の併存が疑われる場合,将来的に胆管癌の発癌が危惧される場合,内視鏡的治療により結石が除去できなかった場合が,肝切除の適応になります.

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