乳腺

乳腺グループ

山梨大学第1外科乳腺グループでは、乳がんを中心に乳腺疾患に対する手術や抗がん剤治療などを行っています。
いまや日本人女性の9人に1人が乳がんに罹患するとされ、当院においても受診される乳がん患者さんは年々増加傾向にあります。乳がんの治療は手術療法・薬物療法・放射線療法があり、サブタイプや病期によって治療方法の組み合わせが異なります。さらに近年では遺伝性乳がんに対する遺伝学的検査やリスク低減手術についても選択肢として挙げられ、多様化・複雑化する治療方法に患者さんが頭を悩ませるケースを多く認めます。そこで、がん相談センター、遺伝子疾患診療センター、形成外科・産婦人科と密に連携することで、患者さんにより満足度の高い医療を提供できるよう取り組んでいます。治療観察期間は基本的に10年としています。
 乳腺疾患の主な検査はマンモグラフィ(最新の3Dも完備)と乳房超音波検査であり、乳がんが疑われた場合は、細胞診や組織診を行い、結果を迅速に提供できるように努めています。

山梨県HPより 山梨のがん情報から抜粋

 

外来

1.乳腺外来は火曜、水曜、木曜、金曜に実施しております。初診患者さんは完全予約制となっております。
2.初診日に血液検査、3Dマンモグラフィ、乳房超音波検査を行い、乳がんが疑われた場合は、可能な限り同日に病理検査(穿刺吸引細胞診もしくは針生検)を行います。マンモトーム生検が必要な場合は木曜午後に行います。病理検査は1週間前後で結果がわかります。
3.手術は月曜と木曜に行っています。
  • 手術方法は乳房温存手術(部分切除術)、乳房全切除術(±乳頭乳輪温存)があります。温存手術の場合は、術後に放射線科で温存乳房の照射を行います。希望により、乳房全切除術と乳房再建術を同時に行うことができます。
  • ​当院では乳房再建術は形成外科と連携して行っています。​乳房再建術は一次再建(乳がんの根治手術と同時に乳房再建を行う)(※一次再建の場合は、手術日は月曜のみとなります。)と二次再建(乳がんの治療終了後に改めて乳房を再建する)があり、当院では両方とも行うことができます。また、当院では二期再建(初めにエキスパンダーを挿入して皮膚を伸ばしてから、2回目に人工乳房に入れ替える再建法)を行っています。​
  • 乳房再建術の適応はStage IIまでの乳がんとされています。希望される場合は主治医と相談してください。
​4.遺伝子疾患診療センターと連携し、乳がんと関連した遺伝性腫瘍に対する相談・管理・治療を行っています。
  • 2020年4月より、遺伝性乳がん卵巣がん症候群と診断された患者さんに対する予防的切除手術が公的医療保険の適用対象となりました。遺伝性乳がん卵巣がん症候群の診断は遺伝学的検査(血液検査)を行う必要があります。下記条件を満たした患者さんの遺伝学的検査は公的医療保険の適用対象となります。詳細については主治医にご確認ください。
  • 再発高リスクの早期乳がん、および進行・再発乳がんの患者さんに対し、治療薬(オラパリブ・タラゾパリブ)の適応があるか調べるための遺伝学的検査(血液検査)および遺伝子パネル検査を行っています。詳細については主治医にご確認ください。
  • 遺伝カウンセリングを希望される場合は、遺伝子疾患診療センターにご紹介します。詳細については主治医にご確認ください。

乳がん

乳がんは非浸潤がんと浸潤がんがあります。

 

非浸潤がんであれば、手術をすればほぼ完治できます。浸潤がんであれば転移や再発をする可能性があります。そのため、早期乳がんの場合は、手術だけではなく、再発を予防する目的に薬物療法や放射線療法が必要となります。乳がんはサブタイプと病期により治療方針が変わります。

 

 

図3.治療方針

 

当院でラジオ波焼灼療法が導入されました!

国立がん研究センターを中心に臨床研究(RAFAELO試験)が行われていた早期乳がんへのラジオ波焼灼療法(RFA)が2023年12月15日保険適用となりました。ラジオ波焼灼療法はがんの中に細い針状の電極を差し込んで電流を流し、発生する熱を利用しがんを焼灼する治療法です(下図参照)。乳がんの場合は全身麻酔下で行います。術者要件として実地研修が必要となりますが、このたび研修が修了し、乳癌学会より承認を得られたことから、2024年6月1日より当院においても実施可能となりました。
 対象は、①組織型が浸潤性乳管癌、②径1.5cm以下の単発限局性病変、③腋窩リンパ節転移なし、④20歳以上、⑤術後放射線療法が可能、といった条件が挙げられます。詳細は主治医にご確認ください。

実績​