消化器外科、乳腺・内分泌外科

医師働き方改革への取り組み

当科では、医師働き方改革に積極的に取り組んでいます

2024年4月より、医師働き方改革がスタートしました。従来、医師の長時間労働に支えられてきた医療体制を是正し、医師が健康に働き続けられるようにする取り組みです。我々は早期より診療体制の改革を行ってきました。医師働き方改革は、医師にとって働きやすく持続可能な労働環境とするのみならず、質の高い医療を継続して提供することが可能となり、医師および患者さん双方にとってメリットの大きい取り組みであると考えています。また、近年危惧されている外科医、特に消化器外科医減少に対応するためにも、非常に重要な取り組みであると考えています。

第1外科 働き方改革 10ヶ条

当科では、独自に以下の10箇条を掲げ、働き方改革に取り組んでいます。

1、複数主治医制
 従来、1人の患者さんの受け持ちは1人の医師が中心になって24時間365日対応する、主治医制が取られていました。しかし、働き方改革の観点から、1人の患者さんを複数の主治医が担当する複数主治医制(チーム制)が推奨されています。すなわち、複数の医師がチームとして、責任を持って担当する制度です。当科でも複数主治医制を導入し、複数の意見をもとに治療方針を決定し、夜間緊急時にも迅速に対応できる体制を整えました。これにより、医師にとっても必要な休息時間や休日の確保が可能となりました。

2、全員回診の撤廃
 外科医の日常業務は、手術、外来診療、入院診療、そして症例ごとの治療方針を検討するカンファレンスなどです。その中で、日々の入院患者さんの状態を把握し適切な治療を提供ために、毎日病棟回診を行っています。一方、日中は上記のごとく各医師がそれぞれ業務にあたるため、回診は種々の業務の一環として分担して行うようにしています。患者さんの状態把握や治療方針はチーム内で共有し、カンファレンスなどで検討しています。この取り組みにより業務の効率化を図ることができます。

3、土日の当番制の徹底

4、当直医による夜間対応
 医師の休息、休日を確実に確保するため、夜間休日の対応は、基本的に当番医(当直医)が行います。そのため担当チーム以外の医師が応急対応することもありますが、十分に情報共有し、また必要に応じて担当医師へ相談して治療方針を決定します。また、当院の夜間・休日の外来受診は、当科を含む外科系診療科医師が代表して対応しています。その場合にも、必要に応じて当科の当番医師へ連絡する体制を整えています。これも、働き方改革に対応するため重要な体制整備の一つです。

5、カンファレンスの短縮と業務時間内への時間変更
 従来、外科医の日中業務は入院患者対応、外来診療、手術など多岐に渡り、治療方針を検討するカンファレンスなどは早朝や夜間など時間外に行われていました。しかし働き方改革に対応し、十分な休息時間を確保するため、カンファレンスの開催時間を業務時間内に移行し、また効率よく行うように改善してきました。また同様に、患者さんへの治療方針の説明なども日中業務時間内に設定するように努力し、患者さんやご家族へのご理解をいただいております。

6、業務の簡素化(パスの強化、セットの共有、治療方針の統一)
現在、患者さんの術前、術後の治療計画の大枠は、クリニカルパスと呼ばれる計画書に沿って行われていきます。もちろん、術後経過により計画修正したり、適宜必要な検査や処置を追加することもあります。これらを整備し、またチーム内で治療方針の統一を図ることで、適切な治療の提供や、治療成績の向上に寄与するものと考えています。さらに、これらの取り組みは医師の業務の効率化につながります。

7、当直翌日は12時で退勤
 現在当院の夜間時間外診療体制は、緊急事態に迅速に対応すべく病院に泊まる『当直』と、有事に電話対応や呼び出し対応を行う『オンコール』の当番で行っています。当直の場合や、オンコールでも夜間帯に診療を行った場合には、翌日の昼には退勤し、午後を休息に当てるようにしています。将来的には、翌日を完全休日にすべく(翌日朝には帰宅できるように)体制整備を行っています。これにより、医師の十分な休息の確保をしています。

8、長期間の手術は可能であればパート毎に術者交代で行う
 特に大学病院では高難度手術が多く、手術時間も長時間に及びます。従来は10時間以上の長時間手術でも同一の手術メンバーで行っていましたが、疲労の蓄積や集中力の低下などの懸念があります。手術の質の確保と医師の健康の維持を目的に、手術メンバーを交代して取り組んでいます。手術の定型化、教育指導体制の徹底により、これらの対応が可能となっています。

9、外来業務の整備
 現在のがん診療は、手術のみならず、術前・術後の化学療法、定期的な経過観察、および再発治療や緩和医療まで多岐に渡ります。その多くの場面を外科医が担っている現状があり、外科医の仕事において外来業務が占める割合がますます増えてきています。この状況に対応すべく、コメディカルへのタスクシフトや業務の簡素化に加え、近隣の協力病院への患者様のご紹介(逆紹介)の体制を整備していきます。そのためにも近隣病院との密な連携を図り、患者様にも医療者にもメリットの大きい体制整備を進めてまいります。

10、若手医師の業務削減
 外科医の仕事は従来ブラックでした。手術は見て学ぶ、夜遅くまで病棟業務を行う、みんなで術後管理を行う。これらは外科修練においては重要な一面はありましたが、持続可能なライフスタイルではありませんでした。時代の変遷やサステナブルな外科医キャリアの形成を支援すべく、当科では業務の効率化を図り、自己研鑽やプライベートな時間を十分に確保できるよう、取り組んでいます。医師の業務自体が急に削減できるわけではないのでまだまだ課題は多いですが、少しでも多くの外科志望の先生が、躊躇なく外科医キャリアを選択できるよう、最大限の支援をしてまいります。

以上のように、当科ではいち早く働き方改革に取り組み、全国的にもモデルケースとなりつつあります。医療者、患者様双方にとってよりよい診療体制を提供できるように、改革を続けてまいります。また、将来を期待される若手医師の先生方、学生の皆さんにとっても働きやすく、持続可能で、自己実現できる環境の提供を目指しています。

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