当科の河野 寛准教授が、令和元年7月16日(火)~17日(水)に神戸市で開催されました、第40回日本炎症・再生医学会総会において優秀演題賞を受賞いたしました。

発表題目は「M-CSF誘導肝マクロファージの肝細胞癌発症における関与の解明と、肝細胞癌の新規分子標的治療への応用」で、その内容はマクロファージの分化・誘導に関与するサイトカインmacrophage colony-stimulating factor(M-CSF)に注目し、背景肝に発現するM-CSFの肝細胞癌の発癌・進展への関与について、動物発癌モデルならびにヒト肝細胞癌切除症例検体を用いて検討を行いました。その結果、M-CSF誘導型活性化肝マクロファージにより血管新生因子が誘導され肝腫瘍の発生と増殖が促進される事実が解明されました。また、肝切除後患者においては、背景肝のM-CSFが増強している群でより早期に再発し予後不良である結果を報告しております。さらに、その結果をもとに臨床治療への応用を目的とし、ヒト肝細胞癌株をヌードマウスの脾臓内に、またマウス肝細胞癌の細胞株を同系マウスに皮下移植後に、M-CSF受容体拮抗剤を投与し検討したところ、M-CSF受容体拮抗剤により肝腫瘍増殖抑制効果を認め報告しております。今回はtranslational researchの展開と新規性が評価されての受賞となりました。
   受賞した河野准教授は、「このような素晴らしい賞をいただくことができ大変光栄です。この賞を励みに、さらに精進していきたいと思っております。」と話しています。